母にはできないことをしました。

蜜月

ひとりの女性の愛と再生の物語
佐津川愛美 筒井真理子 板尾創路 濱田龍臣 森田 想 永瀬正敏
監督:榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀 英雄 脚本:港 岳彦 音楽:和(IZUMI) 映画『蜜月』公式Twitter 映画『蜜月』公式INSTAGRAM

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解説

佐津川愛美 
疾走する17歳から愛を知る32歳まで 
心ゆさぶる圧巻の演技
監督 榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄『捨てがたき人々』×
脚本 港岳彦『宮本から君へ』

『あゝ、荒野』『MOTHER マザー』など一貫して社会的抑圧や差別を題材にした作品を生み出している脚本家・港岳彦によるオリジナル脚本を、榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄監督が7年越しに取り組み映画化。『捨てがたき人々』など、社会の片隅で生きる男たちを描き定評のある榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀監督が、リアルな親としての感情をぶつけ、懸命に幸せを求めながら壊れていく家族の“愛と再生の物語”という新境地を切り開いた。
ヒロインを演じたのは、自身の監督作を発表するなどマルチに活躍する佐津川愛美。夫への愛のために過去の闇に対峙する主人公・美月を熱演。心を病んだ母との愛憎に傷つきながらも愛を求め一線を越えてしまう17歳の少女から、秘密を抱えながら夫を愛し平穏な暮らしを守ろうとする32歳の女性まで、過酷な日々をひたむきに生きる一人の女性の15年に渡る愛と再生という難役を見事に演じきった。

筒井真理子・板尾創路・永瀬正敏
日本映画界を代表する
実力派俳優の存在感

美月の母五十鈴役に、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作『淵に立つ』(16/深田晃司監督)で第71回毎日映画コンクール女優主演賞など多数の賞を受賞した演技派女優筒井真理子。壊れた心を抱え、そのトラウマで狂おしいほど娘の性を憎み、ときには母の愛で慈しむ。相反する心に苦悩する母を見事に演じている。
美月の義父靖男役には独特な存在感が光る板尾創路。新たな家族を幸せにしたいと“父親らしく”振舞うが心奥の情動を扱いあぐねる。その悪い沼にハマっていく哀愁の演技は、同世代の共感を集めるだろう。
美月の義弟伊織役に、大河ドラマ『龍馬伝』で福山雅治扮する坂本龍馬の子供時代を愛嬌たっぷりに演じお茶の間の人気者となった濱田龍臣。中学生から青年に至る15年間、義姉をひたむきに慕い続け、その純粋さに胸をうたれる。さらに、初の大人のラブシーンにも挑戦。
伊織の恋人香澄役にネクストクリエーターから引手数多な森田想。伊織の心を守るため、沈みゆく加納家を救おうと全力で立ち向かう力強い現代女性を好演。
そして、陶芸家で美月の夫哲郎役に、ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』(16)などで日本人俳優として初めて出演作が3年連続でカンヌ国際映画祭出品となった国際派俳優永瀬正敏。秘密を持つ妻を見守り、寡黙で静かな存在感が、観るものに“救い”と慈愛に包み込む。
日本映画界を代表する実力派俳優と注目の若手俳優が物語にさらなる彩りと深みをもたらす。スタッフは、音楽の和(IZUMI)、撮影の早坂伸など、榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀組が集結し、このハードなのに思わず号泣してしまう問題作の強度を支える。

「母にはできないことをしました」

山奥の古民家。陶芸家の夫と穏やかに暮らす美月。義弟が15年ぶりに現れ、母の死を告げる。封印していた家族の過去があふれ出す。愛する夫との暮らしを守るために美月は過去と対決する――
母は、あることがきっかけで離婚し心にトラウマを抱える。再婚し、四人家族となったとき、美月は、温かな居場所ができることを期待した。美しい17歳に成長していた。
母はトラウマから、美月の女の性を激しく抑圧する。美月は母への反抗心から、義父に接近する。ささやかな反抗心だったが、次第に深みにはまっていく。そして“事件”が起こり、家族が崩壊していく・・・
15年ぶりの帰郷。義弟から15年間にわたる過酷な義母の介護も知らされ、その代償の重さに押しつぶされそうになる。目を背けてはいけない、封印した「秘密」を夫に告白する。
その切なすぎる真実に涙する―――

現代家族が抱える闇をえぐる問題作

PTSD(心的外傷後ストレス障害)、性被害などこれまで家族の内の問題として隠されてきた問題を、監督と脚本家は社会問題として捉え、現代家族が抱える闇をえぐる、重厚な人間ドラマかつ極上の社会派エンタテインメントに仕上げている。

本作に寄せて

厚生労働省によれば2020年に児童相談所等で新規受理・途中発覚した18歳未満の家庭内性被害事例は全国で704件だったという。被害者の大半は女児である。加害者で最も多いのが実父の250件であり、ついで多いのは実父以外の「父」は161件であった。

「父親」から「娘」への加害が最も多いという調査結果からは、「年長の男性が上」で「年下の女性が下」であるという典型的な権力構造が見えてくる。『蜜月』で興味深いのは、この典型に収まらない人間関係を丁寧に描写した点だと私は考える。主人公の美月は実父を軽蔑し、義父を屈服させ、実母をネグレクトし、義弟とは共依存である。若い娘が家庭を支配する過程は異様であるが、それ故に彼女は孤立し、大きな代償を払うことになるのだ。一筋縄ではない人間関係と孤独を正面から演じ、魅力的な主人公を体現した佐津川愛美は本作見どころの一つだと感じた。

家族に関する美談は世間に溢れているが、実父から性的に加害される女児は実際に存在する。美月のように、我が身を差し出してでも家族に復讐したいと願う者もいるはずだ。実際の家族のあり方はさらに複雑で、ものごとを単純化しすぎているきらいもなくはない。美月をめぐる家族関係をどう解釈するのかによって、本作の評価は分かれるだろう。

家族社会学者
永田夏来

物語

「美月の心をひとりぼっちにしてはおけない」

山奥の古民家。優しい陶芸家の夫哲郎(永瀬正敏)と穏やかに暮らす美月32歳(佐津川愛美)。義弟伊織(濱田龍臣)が15年ぶり恋人香澄(森田想)とともに現れ、母五十鈴(筒井真理子)の死を告げる。愛する夫との暮らしを守るために美月は封印していた家族の暗部と対決する――

母五十鈴は、ある“事件”がきっかけで離婚し心にトラウマを抱える。美月は子どもながらに不安定な母を支え、母子で必死に生きてきた。母が靖男(板尾創路)と再婚し、四人家族となったとき、美月は、やっと温かな居場所ができることを期待した、美しい17歳に成長していた。

だが、その『女という性』に対し、母はかつての事件のトラウマから、嫌悪・嫉妬し、激しく抑圧する。美月は母への反抗心から、義父に接近する。ささやかな反抗心だったが、次第に深みにはまっていく。再び“事件”が起こり、家族が崩壊していく・・・

15年ぶりに故郷の実家へ戻る美月。義弟から15年間にわたる過酷な義母の介護も知らされ、その代償の重さに押しつぶされそうになる。目を背けてはいけない。夫に封印した「秘密」を告白する。その切なすぎる真実とは―――

出演

佐津川愛美
美月
佐津川愛美 Satsukawa Aimi
1988年8月静岡県生まれ。2005年『蝉しぐれ』(黒土三男監督)で、ヒロインの少女時代を演じデビュー。同作で、第48回ブルーリボン助演女優賞にノミネートされた。07年『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(吉田八大監督)では、第50回ブルーリボン助演女優賞と新人賞2部門でWノミネート。その後も、数々の映画、ドラマ、舞台に出演する。近年の主な出演作は、《映画》『ヒメアノ~ル』(16)、『ユリゴコロ』(17)、『コンフィデンスマンJP―ロマンス編-』 (19)、『タイトル、拒絶』(20)、《テレビ》『おっさんずラブーin the sky-』(19)、『バベルの九朔』(20)、《舞台》『泥棒役者』(18)、『掬う』(19)、『Birdland』(20)など。2021年は、『鳩の撃退法』『科捜研の女-劇場版―』などが公開された。今後の待機作として、前期NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』や映画『明け方の若者たち』(12月31日公開)などへの出演が決定している。第30回東京国際映画祭“ミッドナイトフィルムフェス”における、“SHINPA vol.6 in Tokyo International Film Festival ”にて短編映画『SHE//LL』の監督として参加。幅広い活動を続けている。
筒井真理子
加納五十鈴
筒井真理子 Tsutsui Mariko
10月13日生まれ、山梨県出身。82年早稲田大学在学中に、劇団「第三舞台」で初舞台を踏む。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した『淵に立つ』(16/深田晃司監督)で毎日映画コンクール、高崎映画祭、ヨコハマ映画祭の主演女優賞三冠。第72回ロカルノ国際映画祭正式出品の主演作品『よこがお』(19/深田晃司監督)で令和元年度芸術選奨映画部門 文部科学大臣賞受賞。全国映連賞女優賞受賞。主な出演作に、『jam』(18/SABU監督)、『洗骨』(19/照屋年之監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『ひとよ』(19/白石和彌監督)、『影裏』(20/大友啓史監督)、『SHELL and JOINT』(20年/平林勇監督)、『天外者』(20/田中光敏監督)など。現在上映中作品に、『ずっと独身でいるつもり?』(ふくだももこ監督)、『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』『怪談 満月蛤坂』(森義隆監督)。現在、COCOON PRODUCTION 2021+大人計画の舞台「パ・ラパパンパン」(演出:松尾スズキ/作:藤本有紀)出演中。今後、Netflix オリジナルシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』(22年/箱田優子監督・菊地健雄監督)など多数公開作品を控えている。
板尾創路
加納靖男
板尾創路 Itao Itsuji
1963年生まれ。大阪府出身。NSC(吉本興業のタレント養成所)の4期生。
相方のほんこんとお笑いコンビ=130Rを組み数々の番組で活躍。2010年には『板尾創路の脱獄王』で長編映画監督デビューを果たし、『月光ノ仮面』(12)、『火花』(17)を監督。近年の出演作に、映画「『泣き虫しょったんの奇跡』(18/豊田利晃監督)、『かぞくいろRAILWAYSわたしたちの出発』(18/吉田康弘監督)、『おいしい家族』(19/ふくだももこ監督)、『決算!忠臣蔵』(19/中村義洋監督)、『ファーストラヴ』(21/堤幸彦監督)など。
濱田龍臣
加納伊織
濱田龍臣 Hamada Tatsuomi
2000年8月27日生まれ、千葉県出身。子役時代から大河ドラマ『龍馬伝』や『怪物くん』などで注目を集め、16歳で史上最年少のウルトラマンとして『ウルトラマンジード』主人公に抜擢。主な出演作は、ドラマ『モブサイコ100』主演。『花のち晴れ~花男Next Season~』、映画『記憶にございません!』『ブレイブ-群青戦記-』『ハニーレモンソーダ』『軍艦少年』(21年12月10日公開)など多数。また、2022年1月28日から上映予定のコニカミノルタプラネタリウム「流れ星を待つ夜に」主演の公開を控えている。
森田想
香澄
森田 想 Morita Kokoro
2000年生まれ、東京都出身。幼少の頃から映画、TVドラマ、CMなどで活躍。『アイスと雨音』(18/松居大悟)で映画初主演。
主な出演作品に、映画『ソロモンの偽証』(15/成島出監督)、『心が叫びたがってるんだ。』(17/熊澤尚人監督)、『朝が来る』(20/河瀨直美監督)、『君は永遠にそいつらより若い』(21/吉野竜平監督)や、NHK連続テレビ小説『エール』など。
2022年は『辰巳』(小路紘史監督)他、公開待機作多数。
永瀬正敏
高橋哲郎
永瀬正敏 Nagase Masatoshi
1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(91)で日本アカデミー賞新人俳優賞・最優秀助演男優賞他、8つの国内映画賞を受賞。その後日本アカデミー賞は、優秀主演男優賞1回、優秀助演男優賞2回受賞。 海外作品にも多数出演しカンヌ国際映画祭・最優秀芸術貢献賞『ミステリー・トレイン』(89)、ロカルノ国際映画祭・グランプリ『オータム・ムーン』(91)、リミニ国際映画祭グランプリ、トリノ映画祭審査員特別賞『コールド・フィーバー』(95)では主演を努めた。台湾映画『KANO』(15)では、金馬奨で中華圏以外の俳優で初めて主演男優賞にノミネートされ、『あん』(15)、『パターソン』(16)、『光』(17)でカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初のアジア人俳優となった。近作は『名も無い日』(21)、『茜色に焼かれる』(21)他。2018年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

スタッフ

榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄
監督
榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄 Sakaki Hideo
1970年長崎県五島市出身。95年に古厩智之監督『この窓は君のもの』主演で俳優デビュー。北村龍平監督『VERSUS』(01)、『ALIVE』(03)への出演では、多くの海外映画祭にて支持を得る。以降、映画、 TVドラマに多数出演。
映画監督としては、07年に『GROW-愚郎』で商業監督デビュー。14年公開の『捨てがたき 人々』は、東京国際映画祭コンペティション部門正式出品、KINOTAYO映画祭批評家賞受賞。 17年に窪塚洋介&降谷建志出演『アリーキャット』、 18年に夏木マリ主演『生きる街』がある。 またTVドラマ『侠飯~おとこめし~』、OP PICTURES+のピンク映画なども手掛け、幅広い作品づくりを目指している。NHKドラマ/安田顕主演『夜警』(19)を監督し、平成30年度文化庁芸術祭の参加作品に選出。最新監督作品は、安田顕×山田裕貴出演の『ハザードランプ』(2022年公開)。映画プロデューサーとしても数多くの作品を製作、俳優・監督・プロデューサーとして多才なマルチプレーヤー。
脚本
港 岳彦 Minato Takehiko
1974年 宮崎県延岡市出身、シナリオ作家協会会員。95年、日本映画学校(現・日本映画大学)ドキュメンタリー演出コース卒業。98年『僕がこの街で死んだことなんか あの人は知らない』で、シナリオ作家協会主催・大伴昌司賞受賞。10年『結び目』(小沼雄一監督)がカイロ国際映画祭、サンタバーバラ国際映画祭などにコンペ出品され、高い評価を得る。17年岸善幸監督『あゝ、荒野』(報知映画賞他、菅田将暉が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、キネマ旬報主演男優賞他を受賞)。19年『宮本から君へ』(池松壮亮がキネマ旬報主演男優賞他を受賞)。20年『MOTHER マザー』(毎日映画コンクール大賞、長澤まさみが日本アカデミー賞最優秀女優賞他を受賞)。今後の公開作に福岡芳穂監督『CHAIN/チェイン』、有村架純主演のWOWOWオリジナルドラマ岸善幸/岡下慶仁監督『前科者-新米保護司・阿川佳代-』、瀬々敬久監督『とんび』などがある。
音楽
IZUMI
1968年兵庫県出身。関西学院大学文学部中退。1990年、ソニーSDオーディション「VOICE」にてグランプリ受賞。1992年、橘いずみ名義で「君なら大丈夫だよ」でデビュー。鋭い言語感覚と叙情的な世界を持つシンガーソングライター。「失格」「永遠のパズル」「バニラ」「サルの歌」などのヒット曲はフォロワーを生み続けている。1995年に武道館公演、ひとり芝居「真空パック症」の上演、森進一、上戸彩、高橋みなみなどに曲を提供する。2006年、結婚を機にアーティスト名を「榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀いずみ」に改名、アルバムリリース、ライブ活動を続けている。2007年からは、夫・榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄監督映画作品、ドラマのサウンドトラック、主題歌などを担当。2019年、NHKみんなのうた「うどんパン」で子供たちに人気を博す、2020年、新たに名義を、和に代えてますます幅広いリスナーを獲得し、比類なき才能をいかんなく発揮しながら音楽活動を続けている。
撮影
早坂 伸 Hayasaka Shin
1973年、宮城県出身。日本映画学校(現・日本映画大学)で撮影を担当した卒業制作作品『青~chong~』(李相日監督)が、ぴあフィルムフェスティバル2000にてグランプリ他4賞を獲得して劇場公開される。以降、フリーの撮影部として映画、CMに多数携わる。株式会社キアロスクーロ撮影事務所を設立。日本映画撮影監督協会(JSC)所属。代表作として『BORDER LINE』、『リアル鬼ごっこ』、『結び目』、『nude』、『俺はまだ本気出してないだけ』、『愛の渦』、『アリーキャット』、『生きる街』、『blank13』、『惡の華』、『架空OL日記』、『NO CALL NO LIFE』 など。共同監督作に『歩きはじめる言葉たち 3・11漂流ポストを訪ねて』。
監督
󠄀󠄀󠄀󠄀榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄
10年前に産み落とされた脚本と出会った時に
歪で闇の深い子供でしたが、何か気になり
どうしても育てたいと感じました。
自分なりに頑張りましたが、もう駄目だと思った時に
佐津川愛美という伴侶と出会いました。
でも子供は中々意固地で意地悪で、心を開いてくれませんでした。
私は途方に暮れかけましたが、佐津川の献身的な愛に漸く心を開いてくれました。
「美月」という名前の女性に成長しましたが、私は不安です。
佐津川と「美月」の親子がいい関係であれば或る程、私は怖いのです。
いつか彼女らに嫉妬し、家族を破壊してしまわないか。。
我々スタッフキャストが懸命に献身的に愛を注ぎ込んだ「美月」を何卒よろしくお願い致します。
映画館の暗闇の中こそに、この家族の物語があぶりだされると信じて。
皆様の光で。
佐津川愛美
美月 役
佐津川愛美
撮影まで4年かかりました。
静かに待ちながら、常に彼女が気になる。
突然自分の人生に入り込んできたようでした。
時間が経つほどにどんどん存在が濃くなっていく。きっと、彼女はそういう人間なんだと思います。
どこに惹かれたのか、未だにわかりません。
港さんの作り出した世界にいる彼女をただただ演じたい、心の底からそう思いました。
辛いシーンを超えるたびに私は現場で愛を感じていました。頼もしい共演者、スタッフのお陰で、ひとりぼっちではありませんでした。
だからこそ、ひとりぼっちだった彼女を演じ切れました。
どうかこの家族が、スクリーンの先に居る「美月」に届きますように。
筒井真理子
加納五十鈴 役
筒井真理子
映画「蜜月」の撮影は佐津川愛美さんとの濃密で忘れがたい、まさに蜜月なとても愛おしい時間でした。

内面をさらけ出すような屈折した役に対して、真っ直ぐ向き合っている彼女の姿がとても印象に残っています。
ストイックに挑んだ俳優佐津川さんの移り変わってゆく繊細な表情の変化は、ぜひ映画館の大きなスクリーンで目の当たりにしてほしいです。

この映画には言葉にできない複雑な想いが溢れています。
その感情は、心の奥にある柔らかな部分にそっと触れるものです。
不器用でぎこちなく、でも決して特別ではない一つの家族に会いに来てほしいと思います。

港岳彦さんが作り出した厳しくも優しい世界が美しい映像に昇華しています。
榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀監督の作品への熱量と愛を正面から受け止めて下さい。
板尾創路
加納靖男 役
板尾創路
家族や親子について考えさせられる映画です。
とにかく女優さん達の演技が素晴らしいです。
主演の佐津川さんの作品との向き合い方と表現力は胸を打つものがあります。
濱田龍臣
加納伊織 役
濱田龍臣
今回の『蜜月』では、今までした事が無い事に挑戦させて頂いた作品でした。
複雑な家庭環境の中で育っていった伊織が抱えている様々な感情をしっかりと受け止めて全てのシーンを撮影させて頂きました。
伊織が抱えている物や、伊織の成長が少しでもスクリーン越しに見る皆様に伝われば幸いです。
森田想
香澄 役
森田 想
二度目の榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀監督のもと、撮影前どんな画になるのかと読み込んだ港さんの脚本によって息が詰まるほど濃密な物語がこうして完成し、香澄として関われたことを光栄に思います。
何よりも大好きな佐津川さんとの再演が嬉しく、その妖美な佇まいと目の前で役として生きる姿に改めて惚れ惚れしました。
他にも敬愛する俳優さん方の映画に対する愛を近くで学べ、とても豊かな撮影の期間を過ごせました。
私も楽しみです。是非ご期待ください。
永瀬正敏
高橋哲郎 役
永瀬正敏
役者同士として現場で共に時を刻んだ榊󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀英雄氏に今回は監督として呼んでいただきました。

心の歪みや暗部、、、積み重ねられたそれは、まるで月が流れくる雲に覆われ、身体から伸びる微かな影も見えなくなってしまった様な主人公、、、
生と性、愛情と憎悪、濃い血の繋がりと繋がらない、家族・親子・姉弟・夫婦を描いた港岳彦氏渾身の脚本。
その世界感と美月に、そっと寄り添いながら、あの日々を生きていました。

覆っていた雲はいずれまた、風に流され美しい姿を見せるのでしょう、、、溢れ落ちた涙と共にスクリーンから離れ、その先へ向かって。
脚本
港 岳彦
「蜜月」は、正しくあろうと願いながらあやまちを犯してしまう人びと、つまり加害者たちの物語です。
罪を犯すのは(この劇の作者を含め)いつだって男。
それなのに佐津川愛美さんが身代わりとなって、重い十字架を背負います。
ラスト10分、キリストを殺したものの気持ちを味わいながら、佐津川さんの演技にただ泣きました。
音楽
和(IZUMI)
わたしは美月が嫌いだった。思いのままに、周りの人を虜にしていく美月。こんな女がいるから、他の女が迷惑する。全く知らない人のSNSに、匿名で罵倒する人間みたいな心理状態になった。思考じゃなくて感覚で生きている羨ましさ。深層心理にある寂しさを鷲掴みして、その手で誰かを抱きしめていく。あなたはどうなの?迫ってくる問いかけの波に飲まれそうになりながら、いつのまにか美月のことが忘れられなくなっていた。そんな彼女のストーリーに併走する音楽は、彼女の中に流れてるであろう、ひたすら無機質な音を追いかけてみた。そして本当の愛を受け入れた時に、彼女の音は変わるのではないか。あなたに中にいる「美月」と、この映画でどんな風に出会うのか、楽しみにしています
撮影
早坂 伸
この作品の撮影はシンプルさを心がけました。
余計なカメラワークを一才廃し、フィックスメインで佐津川愛美さんをはじめ、演者の芝居に没頭させることを主眼にしました。狂気シーンの長回しは、自分が今まで撮影してきたなかでも最も震え立ちました。
港岳彦氏の脚本世界とそれを見事に体現している役者さんたち。
撮影者としてはこの上ない至福の時間でした